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◆ 「蜘蛛の拍子舞」 源頼光 |
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古風な踊りの、古風な役です。おっとりとした殿様の風情と色気。そうしたことを、あまり動くことなく、濃厚な味わいで、古風な狂言らしい、おおどかな歌舞伎らしさをお楽しみいただかねばなりません。難役です。 |
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◆ 「蘭平物狂」 奴蘭平 実は 伴義雄 |
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昭和62年、父の9代目三津五郎襲名披露の時が初役で、父に教わり松緑のおじさんに仕上げを見ていただいた想い出の役です。そのとき31歳、歌舞伎座で初めて主演した舞台でした。松緑のおじさんからは、「蘭平というと人はすぐ大立ち回りを思い浮か
べるが、蘭平役者としては題名の通り、前半の物狂いの踊りのところでお客を魅了しなくちゃいけないよ。それから、強いところからふっと軽く変わる変わり目を、もっと力を抜いてやらなくちゃ駄目だ」と教えていただきました。あれから17年・・・・。平成7年の息子巳之助の初舞台のときに勤めてからも、9年が経ちました。
その舞台を観て、まだ研修中だった八大と大和が、うちへの入門を決めてくれたそうです。その八大と大和と、念願の師弟初共演の蘭平です。皆が盛り立ててくれる立ち回りはもちろんのこと、教えていただいたことを思い起こしながら、義太夫狂言らしい厚みと、奴の色気と男らしさを大切に、充実した舞台にしたいと思っております。 |
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◆ 「東海道四谷怪談」 直助権兵衛 |
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4年前のときと同じ演出、ほぼ同じ配役での再演です。納涼歌舞伎としてはやや安易な狂言設定かな?とも思います。
時間的な制約があるのでしかたありませんが、直助役者としては今回はぜひ「三角屋敷」を上演して欲しかったです。
そうでないと直助は中途半端な尻切れトンボな役で、お客様も直助とお袖が実は兄妹だったということを知らずにお帰りになる訳で、四谷怪談のドラマとしては一番充実した「三角屋敷」を上演できないのはなんとも残念です。
とはいえ初演は五代目幸四郎。若い團十郎の伊右衛門を相手に、悪の魅力の兄貴分として、存分に腕をふるった役です。楽しみながら、闇にうごめき不気味に輝いている男の魅力を出せれば、と思っております。 |